| 鉄道研究会WOO>ノンJRの旅山陽編>1日目−2 |
| 小豆島雑感 |
| (1日目−2 福田(小豆島)−土庄港−新岡山港) |
| 小豆島は昨年の春、家族旅行で三泊しました。今回の再訪はけっこう楽しみでもあり、この魅力ある島をたった数時間で通り去ってしまうことは残念でもあります。まあ今回の旅行の主旨から言えば私のセンチメントなどどうでもいいことですが。この原稿も私の思い入れが入ってしまうので、ノンJRという大きな流れからは脱線することもあるかと思いますが、我慢してくだされ。 それと小豆島福田港から岡山駅までが私の分担ということですが、小豆島へのアプローチということで船からの眺めのことから書き始めます。 ◆船からの眺め(だまって考えていること) 小島が点在する中を船は進む。瀬戸内海らしい風景だ。 地学的な話をすると、瀬戸内海という海が無かった時代も存在する。その当時はそれぞれの小島は陸上の小さな山の頂であったものだ。 西日本を東西に走る中央構造線という大断層によって、西日本の「南側は隆起、北側は沈降」という大きな土地の変動がゆっくりと進んできた。これによって南側には石鎚山・剣山という壁ができ、北側は断屠に引っ張られるように沈んだ。より断層に近い瀬戸内が最も沈み、北へ行くほど沈降程度が少ない。瀬戸内地域という細長いクレバスが生じる原因はここにある。そこに間氷期による地球規模での海水の増加が相まって現在の内海が完成した。 かつての山の頂が小島となり多島海の風景を形作っているわけだ。瀬戸内地域の土地の沈降は他の地域に比べて著しいため、長ーい目で見ればこれらの小島もどんどんどんどん海中に没していくことになるだろう。 この内海という存在は気候的に大きいものがある。水は岩石に比べて温度が上がりにくく下がりにくい。内海という大きな「水がめ」があることによって、一年を通じて温度変化の少ない柔和な瀬戸内気侯の原因となっている。‥‥なんてことを私は考えながら旅行している。人によって興味関心は違うから、同じ風景を眺めていても考えていることは違うんだろうなあ。 ◆福田港(やっと着いたぞ小豆島) 小豆島は火山活動により生じた標高800mを超える星ケ城(山)を主にした周囲140kmの島である。せいぜい標高100mの小島に見慣れた目には、飛び抜けて大きな島として小豆島は我々の前に姿を現す。沈降地形に見られる島は平地が少なく、海から見るとまるで崖のように見える。人々は小さな河口付近に集落を形成するため、どうしても集落が散在する形となる。 福田港もそうした町のひとつで小豆島で七つある港のうちの一つである。唯一東に面した港であり姫路から最も近い港となる。しかし大阪からの船は南にある坂手港や西の土庄港に入ってしまう。福田港が大型フェリーが入れるほどの水深がないのか、町としての規模が他の港に負けるからなのか。おそらく後者と思われる。 これは大事なことだが『小豆島は香川県である』。歴史的には備前や岡山に組み込まれたりしたこともあったようだが、現在は土庄町、池田町、内海町すべて香川県に属している。そして島にある七つの港のうち、五つまでが島の南半分にあり、もちろん集落も南半分に多い。つまり小豆島という島は、中央に大きな山があり、山の南半分は平地も多く人も多い。北半分は崖状で人も少ないと言える。ちなみに島の人口は四万人あまり。ほとんどが島の南半分にすんでいるものと思われる。 さて地図を見てもらうとわかるように、小豆島を空から眺めると牛が草を食んでいる姿に見える〈(c)二十四の瞳〉。牛のお尻の部分が福田港、今回我々が目指す土庄港はうなじの部分にあたる。もちろん島に鉄道はないため、島内の移動はバスとなる。小豆島交通のバスで通称「しまバス」だ。福田港から土庄港へは、南回りと北回りの2コースがあるが、今回は北回り裏街道を行くことになる。 おっと、その前に腹ごしらえだ。時間はもうお昼前。 小なりといえども福田港は立派な観光港だ。我々が行勤した範囲で認められた土産屋は二軒、食堂は一軒ある(土産屋と兼業)。・・・・食堂の選択の余地無し。穴子飯、素麺などめいめいが小豆島らしいメニューを注文した。・・まあまあかな。 小豆島素麺は醤油・オリーブと並んで小豆島を代表する名産品の一つで「日本三大素麺」の一つに教えられている。もちろんあとの二つは揖保と三輪であり、これについては異論はあるまい。しかし小豆島素麺は例によって「三大」の三つ目なので少し眉唾かもしれん。醤油は「マルキン醤油」と言えば知っている人もいるのではないかな。 ◆バス(小豆島の過疎地域を走る) 福田12:20発、島バスの乗客は我々五人と観光客二人。島の人は・・・・いない。 バスは小豆島牛のお尻から背中をはい上がっていく。道路は島の周囲を丁寧にトレースしていく。また川や沢ごとにアップダウンを繰り返す地形に忠実な道路だ。崖下の海の向こうには対岸の赤穂地域が見える。 瀬戸内海でもこのあたりは採石場としても有名で、大阪城の築城にもかなりの石が切り出されたという。その時の石切奉行が片桐且元で、その関係から現在、片桐の城のあった茨木市と内海町は姉妹都市関係を結んでいる。 話がそれてしまったが、現在でも採石はさかんで、小部地域ではかなり大胆に山が削られている。これは船から見てもわかるくらい削られた岩肌があらわになっている。戦隊モノのロケ地としてはぴったりだろう。 そんな光景を見ながら、大部港を過ぎる。唯一の北側に面した港で、赤穂の日生(ひなせ)とのフェリーが発着する。大部を過ぎるとようやく島の人がぽつぽつと乗ってきた。 大阪城築城の際、切り出されたものの運ばれなかったという石やその資料を展示する大阪城築城残石公園や唐突に現れる大観音などを眺めつつ、バスは土庄の町へ。 ◆世界一の海峡(ギネスって) 土庄の町は、小豆島本体と前島との間にできた砂州の上にある。この砂州は両者を完全には繋げておらず、小豆島と前島の間には海峡が存在する。一番狭いところで10mを切っており、見た目にはただの水路に見える。しかしこれがギネス認定の世界一狭い海峡「土渕海峡」なのだ。今回の取材でぜひこの土渕海峡を見たかったのだが、港からの距離と船の時間の関係で見送らざるを得なかった。車窓からしっかり見ることができたのがせめてもの慰めか。 ◆土庄港(小豆島の何を見たのだろう) 土庄港は、小豆島一の港であり、高松・岡山・宇野への高速船やフェリー、そして大阪からのフェリーも発着する。郷土の作家・壷井栄の名作「二十四の瞳」のブロンズ像がある。ちなみに小説の舞台や映画村は小豆島牛の後ろ足の先端にある。 高速船の出発まで中途半端な時間を銘々が勝手に過ごす。携帯端末を手にするものが多いのは時代の流れか。私は土産屋を覗いた後、高松行きの発着場へ行った。ここでジェット船が入って来るのを見た。 いかにも速そうな流線型の真っ白な筐体、引き締まった黒のガラス、我々が乗る岡山行きの高速船を圧倒するような大きさ、「かっちょえー」私は心の中で歓声を上げたよ。取材陣の中にはこの船に乗れると勘違いして大喜びの者もいたそうだ。それぐらい立派なジェット船だったのだ。 我々が乗る両備運輸のジェット船だって島間航路としては立派なほうだ。平べったい形でいかにも海面を滑るような婆をしている。内装も頑張ってる。中央観光のバスを想像させるようなこてこてキンキラ系だ。ちょっと落ち着かないけどね。 ◆岡山へ(もう小豆島とおさらばだ) さてこの船で新岡山港へ向かう。13:50発。 ここで?の料金体系に出会ったので紹介しよう。この船の新岡山港までの料金は1630円。その先、岡山までのバス料金は480円。さあ、この二つがセットになっていくらか? セット料金は、なんと1500円。新岡山港までの船代より安いというミステリアスな価格設定なのだ。もちろん岡山は新岡山港より先にあるんだぞ。 なぜなんだ。 旅先で出くわすこういう謎解きも面白いね。 私は、当初、岡山県内でのバスが数社あって、両備運輸のバスを使わせる(というか他社のバスを使わせない)戦略かと思ったよ。ところが、たしかに岡山県内でのバスは二社あったが、どっちのバスにでも乗れるという。??? じやあ、逆に土庄〜新開山間航路に他社が参入する前に価格的なアドバンテージ取る囲い込み作戦?う〜ん無理があるなあ。まさか土庄〜新岡山港は水上を新岡山港から岡山へは陸上を走る超高速ホパークラフトがある・・‥わけないしねえ。 けっきょくこの答えはわからないままだったのだが、後に岡山へ向かうバスの中で K.S探偵が正解を出した。その正解とは‥‥ 『土庄から高松へ行く客を岡山へ取り込む』戦略だったのだ。 両備運輸は高松へ向かう客を岡山へ引っ張ろうと考え、多少いびつな料金体系になっても高松行きに近い価格設定をしたのだろう。 そうか、考えてみれば「小豆島は香川県」「高松の方が近い」「かっちょえ〜高速船にも乗れる」ということを考えてみれば、当然の結論だ。だが岡山へ行くことばかり考えていた私にはその発想が出てこなかった。小豆島のことは今回の取材陣の中では最も知っているつもりで、なおかつかっちょえー高速船を目の当たりにしながら高松航路にことに考えが及ばなかったことを私は恥ずかしく思ったよ。逆にK.S探偵エライなあと感心してしまった。 さて両備運輸が頑張った価格認定をしても、やはり高松の優位性は揺るがないだろう。高松港は高松の中心地に近い。船から下りればすぐにショッピングにいける。逆に新岡山港から岡山まではバスで30分近くもかかる。この切符があるからといって岡山へ出る人間がどれだけいるかは疑問だ‥・・。 我々にはまさに「渡りに船」の切符だったが。 ◆岡山へ(先行き不透明) さて新岡山港に近づくにつれ、彼の地の上空のただならぬ様子が判明してきた。明らかに荒天を示す黒灰色の厚い雲が連なっている。デッキテラスを配したリゾートっぽい雰囲気の新岡山港も残念ながら足早に通り過ぎる。 岡山電鉄バスに両備運輸の切符が使えることを確認して乗り込む。 ほどなく大粒の雨が降り出し豪雨となった。外を見ると商店街のアーケードの樋からは水があふれ出し、カサが役に立たないくらい濡れている人もいる。 そろそろこの日の最終予定が決まっていないこともあって、少し不安感が高まる取材陣なのでした。 (この項おわり) |
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