鉄道研究会WOOノンJRの旅山陽編1日目−3
バスで総社に行く?そんな奴はおらんやろ!
(1日目−3 新岡山港−岡山駅−総社)
● ライバル会社が共同で割引?そんな奴はおらんやろ1
 高速艇で小豆島から新岡山港へ渡り,本州再上陸を果たした我々は,待ち時間なしで接続する岡山駅前行きの両備バスに乗り込んだ。ノンJRの旅という企画がなければ新岡山港など一生訪れることはなかったであろう。
 早くも話はそれるが,小豆島から岡山までは,複数の船会社とバス会社が共同で割引キップを発売している。(船+バス)<(船単独)という破格な割引であった。競合している相手を意識して経営戦略として運賃を割り引くというのはよくある話だが,本来ライバル関係にあるはずの複数社が共同で運賃を割り引いているのはなんとも不思議な話である。「いったいこれはどういうことなんだ?」と単調な車窓に蝕きたバスの中で考えたが,推測として小豆島から高松への流動に対抗してのものではないかと考えた。小豆島は香川県なので県庁所在地は高松である。ということは役所への用事,大きな買物,通院といった用務客はたいてい高松に行くであろうし,事実,高松行きの船は岡山行きの船よりかなり大型だった。
 この流れを何とか岡山に向けたいという思惑が.普通では考えられない共同での割引という形になったのであろう。しかも船とバスは待ち時間なしの接続になっているし,通院客を狙ってバスも大学病院の前をわざわざ経由するルートにしたとポスターで大々的に宣伝している。その結果,我々も割引価格で利用しているのであるからありがたい話である。もし、私が現役の経済系の学生であれば,ぜひとも卒論のテーマにしてみたいネタである。
 バスは道幅の広いバイパス道路を快走し,橋を渡って岡山市内中心部にさしかかると大粒の雨が降ってきた。厚い雲が空を覆っていて,もう夕方かなというような暗さになっている。
 清輝橋の交差点にさしかかる。ここは路面電車の終点であり,折り返しの電車が止まっていた。かつて金田一ツアーでM.K君とS.F君とこの電車に乗りにきたこと,前泊の旅館でドンチャン騒ぎしたことを思い出した。
 前述の大学病院前や市役所前といった停留所では乗降ともに多い。岡山市などではこれらの地点を結ぶ路面電車の整備計画を考えているそうだ。

●バスで総社に行く?そんな奴はおらんやろ!
 岡山駅前に到着したのは午後3時。雨はまだ降り続いている。岡山は過去幾度となく訪れたり通ったりしているが,こうやってバスで岡山駅の正面に到着したというのは,常にホームに降り立つことで岡山に着いたこれまでとは,何とも言いがたい違和感がある。
 早速,次のポイントである総社へ向かうバスの状況について調べることにする。
 事前の調査では岡山−総社のバスはあるにはあるが,その本数については期待できないというものであった。
 それもそのはずで,岡山から総社に行く場合のルートとしては,倉敷経由のJR伯備線の電車に乗るか,岡山市北方を走るJR吉備線のディーゼルカーに乗るのが一般的である。JRだけでも2通りの行き方があるというのにバスでわざわざ総社に行くというのはナンセンスであり,バス路線が設定されているということ自体が奇跡的であるといえよう。
 そこをあえて案内所の係員に尋ねてみた。係員の女性は『おまえらアホか?総社はJRで行くもんじゃい!』という本音を丁寧な口調で隠しながら「それなら16時16分発の中鉄パスですね」と教えていただいた。結局,あらかじめバス停で調べた通りのバスであった。
 というわけで約1時間の自由時間とあいなったので,S.F君と私は買い損ねていたこの日締め切りのtotoを買うべくJTBの営業所に立ち寄った後,腹ごしらえにスタンドのカレーライスを食ペた。中途半端な時間であったが,ここから先で何かを食ペる場所と時間があるかどうか保証の限りでないので,これはやむをえない。
 再集合地点となった12番バス停に目当ての総社行きの中鉄バスがやってきた。結構な数の乗客が乗り込んできたが,当然のことながら市街地内のバス停で次々と降りていくのであった。
 ところで,まるで鉄道会社のバスみたいな名前の中鉄バスであるが,それもそのはず中鉄とは「中国鉄道」の略である。とはいえそういう名前の鉄道はなく,その路線はJR吉備線として引き継がれている。その中国鉄道は現在中鉄バスと名を変え,JR吉備線沿線の地域を地盤に路線網を形成しているのである。
 バスはJR吉備線をほぽトレースして総社に向かう。「もともとはこれが中鉄だったんだ!」ということを主張するかのようなバス路線である。折からの豪雨のためにバスは予定よりもかなり遅れて総社に到着したが,次に乗る井原鉄道の発車には相当の余裕があったので無用の待ち時間が減ったのは幸いであった。
 降り立ったバス停から大阪行きのバス乗り場があった。「やめるならお帰りはこちらですよ」と言っているみたいで笑えた。けど,やめるわけにはいかないだろう。まだまだ先は長いのだ。 (この項終わり)
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