阪神『なんば線』は間違いで、『阪神なんば線』が正しい名称だと言われてもワタシにはどうでもいいことだわ

桜島ゆきえ

◎序文だわ

 本誌の読者のみなさんお久しぶりね…桜島ゆきえです。
  先日、何気なくテレビを見ていると、『豊岡真澄』ってタレントさんが出ていて,なんとなんと『鉄道アイドル』っていう触れ込みで売り出しているじゃない。『鉄道アイドルの登場』だなんて,この世の中本当にいったいどうなっているの?…この国の行く末を本気で心配してしまう次第。
  さてさて、そんな瑣末なことはどうでもいいとして、昨年来から『鉄道研修会MOO!』なる怪しい団体…の活動に参加させられて,とてもとても迷惑していることは本誌で何度も訴えている次第なんだけど、その元凶というべきサトシ君からまたも怪しいメールが飛び込んできたわ。
 
「サトシです。鉄道研究会WOOのみんなが『ゆきえちゃん気に入ったからまた誘ってよ!ゆきえちゃんここ半年くらい来てないじゃない?』ってリクエストを受けたんで,ぜひ来てください。阪神梅田駅で待ってます.。

  何が『ゆきえちゃんをまた誘ってよ』だよ? あなたたちは気に入ったかもしれないけど,ワタシはあなたたちのことなど全くの論外だわ!! しかも鉄道なんか全然趣味じゃないって言ってるでしょ!…でも,これって例の『自称大学生の中学生風の小娘』も参加するんでしょ? だとすれば,あの小娘がチヤホヤされてしまうのではないかい?…それはワタシにとっては『浅田真央がフィギュアの世界大会で優勝すること』や 『バトミントンのオグシオが写真集を出して目立っていること』よりも許されないことだわ。大人のオンナの貫禄を見せ付けるためにも,ここは参加しなければ!と思った次第。
 
◎『あの小娘』がワタシに…

  さてさて当日、阪神梅田駅で待っていると「ゆきえちゃん待ったぁ?」などど二日酔い丸出しのサトシ君を先頭に,サバイバル系な雰囲気漂うおじさん,ちょっと外食に頼りすぎてない?系のおじさま,メガネでヒゲのおっさんと子どもたち(後でそのおっさんの弟とも合流するのだ)…そして例の小娘も来たわ…でも明らかにワタシの勝ちね。みんなの視線がワタシに釘付けだもの。
  と思っていたら,サバイバル系のおじさんがワタシの前にツカツカと歩み寄ってきたわ。『え〜何?何なの?』と戸惑ってると,「ほっぺたにご飯粒が3個ついてますよ」って指摘された次第。古典的なオチかよ!

 *          *          *

  というわけで、まずは阪神電車で尼崎まで乗って,そこで『西大阪線』に乗換えるという次第。で,『西大阪線』って何?…初めて聞く路線だわ?最近できた路線?…
  などと思案していると,メガネでヒゲのおっさんが「西大阪線は昔からある路線で西九条と尼崎を結ぶ路線なんだよ。しかも,かつては西大阪線を走る特急電車もあったんだ…
でも乗客にウケなくて,すぐに運行中止されたけどね」って教えてくれた次第。
  まあ,そんなウンチクなどワタシにはどうでもいいことなんだけど,西九条という駅名には記憶があったわ。「西九条ってUSJに行くJRの駅でしょ? ワタシ西九条駅で乗り換えたことあるけど,阪神電車の駅なんかあるの?」……とワタシが疑問を伝えると,突如として「そんなことも気づいていなかったの?それは愚かなことだわ!」意外な方向からと声がしたわ。
  『その声の主はいったい誰?』…と,声の方向を確認するとナントナントあの『自称大学生の中学生風の小娘』…しかもニヤリと笑ってるじゃない!! まさかまさか例の小娘にバカにされるとは……ちょっとこれにはふつうにプライドがズタズタだわ!


◎宣戦布告……?

  尼崎駅で西大阪線の電車に乗り換えたんだけど,やっぱりマイナーな路線なのかしらね?本線の電車に比べれば乗客は格段に少ないわ。
  まず最初の駅が『大物』。「これって『おおもの』って読むのかしらね?」ってサトシくんに尋ねると「いやいやゆきえちゃん。これは『だいもつ』って読むんだよ!」って教えてくれたんだけど,この時,例の小娘はワタシのほうを見てくすっと笑って「バカね」とごく小さな声で言った…はず…でもワタシには確かにそう聞こえた!さっきからこの小娘ったら……これって宣戦布告と受け取ってもいいのよね?
  『伝法(でんぽう)』,『福』と仏教的な由来の香りが漂う両駅の途中に新淀川を渡る鉄橋があるんだけど,ここでメガネのヒゲのおっさんが「この鉄橋は川面からの高さが低く,淀川の堤防を乗り越えていないので,もし川が増水したときは堤防の鉄扉が閉められて線路が使用不能になってしまうのだ」とまたもウンチク。
  次の『千鳥橋』は元々の終点だったところらしい。ここでもまた「千鳥橋の駅のホームは普通電車が急行や特急を退避できるような構造にしようと思えばできるのだけど,現状ではそのような使い方はしていない」とまたまたウンチク。いったいぜんたい何でひと駅ごとにウンチク話をすることができるのよ!?
  そんなこんなで,次が終点の『西九条』。現時点では終点だけれども,その先は大掛かりな工事をしていたわ。この工事が後述する『阪神なんば線』というものらしいけど,とにかく悔しいのは,確かにJR西九条駅がすぐそばにあったこと。阪神にも西九条駅があったのね。そのことを,例の小娘は知っていた……とりあえずここはワタシの負けを素直に認めるわ。

 

◎阪神『なんば線』…もとい『阪神なんば線』はウンチクの宝庫だわ!

  西九条駅で降りて周辺の散策をすることに…。
  JR環状線はもちろん高架なんだけど,阪神の線路はさらに一段高いところに位置していて,先述の工事もとっても大掛かりなものになっているわ。これが『阪神なんば線』の建設工事…ここからはメガネでヒゲのおっさんがウンチクのオンパレード。概要をまとめると以下の通りになるわね。

  @ この工事中の路線は,大阪ドームのそばを通って,近鉄の難波駅で結合させる予定。完成の暁には奈良から難波を経由して三宮を結ぶ壮大なスケールの直通電車が運転されるという次第。ワタシにとって難波から三宮まで乗り換えなしで行けるというのは便利だわ。
  A 路線の名称は,阪神の『なんば線』じゃなくて,『阪神なんば線』ということらしい。でも,そんなこと別にどっちだっていいじゃない。
  B これって50年も前から計画されていて,工事しようという機運もあったんだけど,用地買収の問題や沿線の商店街が廃れるかもしれないってことで,ず〜っと反対されたまま年月が経ってしまったそうね。
  C 工事現場に沿って300mほど歩くと安治川にぶつかる。安治川は船舶も航行するので橋の高さは高くないといけない。だから,西九条駅でJRの高架を跨ぐ高さのままで川を渡る必要があるわ。
  D ところがところが,安治川を渡ってしまえば,今度はわずか1km程度の距離で地下にもぐらないと阪神高速道路にぶつかってしまう。これって電車にとってはかなりの急勾配になるが,既存の阪神電車の車両のパワーでは登りきれないので新型車両(1000系)を導入するという次第。でも,相互乗り入れする近鉄の車両は生駒山麓を登れるパワーが元々備わっているので既存の車両でもOK!
  E 元々の計画を立てた時点(50年前)では大阪ドームなど存在していなかったが,今となってはドーム前の駅を作らないわけにはいかない。したがって,新線区間の駅間距離はかなり短いという次第。

 *          *          *

 よくもまあ……これだけの話を聞かされると,消化するのに胃薬が必要になるわ。それにしても,何個も何個もウンチクを語れるのはいったいなぜ? いつも思うんだけど,これを『取材』というならもっと洒落たブティックとかカフェといったスポットをなぜ探索しないのかしら? 今から『安治川の人道トンネル』を歩くといってみんなはしゃいでいるし,人道トンネルってそんなに面白いかい?


◎『もぐれ阪神』…もぐるのはとっても大変だわ

  川を渡ってしばらく歩くと九条の商店街に到着。一部の建物は立ち退いて,ここに新線が急勾配でトンネルへと降りていく坂を工事しているわね。だから商店街すれすれのところに線路が建設されるという次第。
  で,周辺の建物のいくつかに『もぐれ阪神』の横断幕が掲げてあったのは印象に残ったわね。要するに騒音とかの問題があるから,最初から全部トンネルにしてくれ!っていう主張だと思うけど,それを実現するためには安治川の下をトンネルで通す必要があるわね。でも船舶も航行する川なので,かなり深い地点でトンネルを掘らないといけない。しかし西九条の駅はJR環状線よりも高い位置にあるから,わずか300mの距離でそのような勾配を作るのは不可能という次第……
  ていうか,誰の助けも借りずにここまで解説できてしまうだなんて,鉄道研修会MOOの悪性ウイルスがとうとうワタシに移ってきたのかしら?…だとしたら大ショック! だったら『リングウイルス』が移って1週間後に命を奪われるほうがよっぽどマシというものだわ。
  というわけで,西九条と九条の散策はこれでおしまい……なんだけど,西九条駅に戻っているときに,例の小娘が「もぐれ!ゆきえ」ってボソッと言った。こら小娘!それってどういう意味なのよ?いつまでもいい気でいられるなんて思っていたら大間違いだわ。(この項おわり……遺恨はつづく)

 

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